法律実務のパートナー
ジュリスト 2021年7月号(No.1560)
2021年06月25日 発売
定価 1,569円(本体 1,426円)
ヒトやモノがグローバルに移動する現在,国境を越える不法行為と抵触法(広義の国際私法)の関係について,実務上検討すべき問題が顕在化しています。本特集では,それらのうち,我が国の独禁法の適用に関する抵触法上の問題,国境を越える営業秘密侵害,家族の国際的移動と不貞行為に基づく損害賠償請求,「ビジネスと人権に関する指導原則」の抵触法的側面という論点を取り上げ,それぞれの問題に精通する抵触法研究者に分析・検討をしていただきます。
【特集】国境を越える不法行為と実務上の課題
◇特集にあたって…横溝 大……14
◇国際的管轄合意と我が国独禁法の適用…加藤紫帆……16
◇民事上の損害賠償請求における我が国独禁法の適用…中西 康……21
◇国境を越える営業秘密侵害に関する抵触法的考察…嶋 拓哉……27
◇家族の国際的移動と不貞行為に基づく損害賠償請求…中村知里……33
◇「ビジネスと人権に関する指導原則」と抵触法…横溝 大……39
[会社法判例速報]
招集通知発送後の株式譲受人に対する招集通知の要否――東京地判令和3・1・13…弥永真生……2
[労働判例速報]
労働者でない建設作業従事者との関係における規制権限不行使の国賠法上の違法性――建設石綿訴訟――最一小判令和3・5・17…小西康之……4
[独禁法事例速報]
優越的地位の濫用に関する審決取消訴訟が全部棄却された事例――東京高判令和3・3・3…植村幸也……6
[知財判例速報]
音楽教室における演奏主体――知財高判令和3・3・18…小泉直樹……8
[租税判例速報]
みなし配当に関する法人税法施行令を違法・無効とした事例――最一小判令和3・3・11…酒井貴子……10
[海外法律情報]
◇ドイツ―COVID-19と「補償」――ドイツの場合…山本真敬……61
◇アメリカ―ギグワーカーに関する連邦規則の撤回…中川かおり……68
[時論]
◇引受証券会社のゲートキーパー責任――エフオーアイ事件最高裁判決…梅本剛正……62
◇経済的自由にかかる憲法判断――最高裁令和3年3月18日判決をきっかけに…二本柳高信……69
[連載/新・改正会社法セミナー――令和元年・平成26年改正の検討]〔第4回〕
企業集団・株主総会(1)…藤田友敬(司会)/澤口 実/三瓶裕喜/田中 亘/長谷川顕史/松井智予……44
[連載/BOOK TERRACE]
ジュンク堂書店池袋本店……75
[最高裁大法廷時の判例]
民事
市長が市の管理する都市公園内に孔子等を祀った施設を所有する一般社団法人に対して同施設の敷地の使用料の全額を免除した行為が憲法20条3項に違反するとされた事例――最大判令和3・2・24…髙瀬保守……76
[最高裁時の判例]
民事
◇交通事故の被害者が後遺障害による逸失利益について定期金による賠償を求めている場合に,同逸失利益は定期金による賠償の対象となるか/交通事故に起因する後遺障害による逸失利益につき定期金による賠償を命ずるに当たり被害者の死亡時を定期金による賠償の終期とすることの要否/交通事故の被害者が後遺障害による逸失利益について定期金による賠償を求めている場合に,同逸失利益が定期金による賠償の対象となるとされた事例――最一小判令和2・7・9…大寄麻代……85
◇不動産競売手続において建物の区分所有等に関する法律66条で準用される同法7条1項の先取特権を有する債権者が配当要求をしたことにより配当要求債権について差押え(平成29年法律第44号による改正前の民法147条2号)に準ずるものとして消滅時効の中断の効力が生ずるための要件――最二小判令和2・9・18…堀内元城……90
刑事
◇指示を受けてマンションの空室に赴き詐欺の被害者が送付した荷物を名宛人になりすまして受け取るなどした者に詐欺罪の故意及び共謀があるとされた事例――最三小判平成30・12・11…蛭田円香……93
◇詐欺の被害者が送付した荷物を依頼を受けて名宛人になりすまして自宅で受け取るなどした者に詐欺罪の故意及び共謀があるとされた事例――最二小判平成30・12・14…蛭田円香……97
[経済法判例研究会]
独占禁止法違反が主張された渉外事件における専属的国際裁判管轄の合意――島野・アップル事件東京高判――東京高判令和2・7・22…土田和博……100
[商事判例研究]
◇意思決定権のない者による情報交換と事業者の「意思の連絡」――東京地判令和元・5・9…大塚 誠……104
◇自動車保険契約中の「酒気帯び免責条項」による免責の可否――大阪高判令和元・5・30…木村健登……108
◇完全合意条項のある株式譲渡契約書における契約の解釈手法――東京地判平成31・2・27…吉岡正嗣……112
[労働判例研究]
◇配置転換の内示の法的性質及び不法行為の成否――一般財団法人あんしん財団事件――東京高判平成31・3・14…呉 哲毅……116
◇即戦力となる管理職採用における試用期間満了時の本採用拒否――社会福祉法人どろんこ会事件――東京地判平成31・1・11…木下潮音……120
[租税判例研究]
社会福祉法人が営む有料老人ホーム事業の収益事業該当性――福岡高判令和元・7・31…加藤友佳……124
[渉外判例研究]
不法行為に基づく損害賠償債務の不存在確認訴訟における国際裁判管轄と国際訴訟競合――知財高判平成29・12・25…中村知里……128