2018年6月18日
著作権法は、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする法律です。この法律の権利制限規定に定められた著作物の利用を除いては、その利用は著作者や出版社等の各種の権利を侵害することになります。著作権法は、侵害行為に対する差止め、損害賠償と刑事罰を定めています。
にもかかわらず、明らかな著作権侵害事案、悪質な著作権侵害事案が少なからず発生しております。これは著者や編集者の労苦にタダ乗りするものであり、またたとえ利益を得ようとする場合でなくとも無断の利用は、著者・編集者の労苦、そして著者の才能が水泡に帰すことになります。出版による叡智の創造と伝達が日本の文化を支えていることに深い理解を得たいと思います。
以下に著作権侵害事例の一部をお示しいたします。昨今、知的財産制度の重要性が謳われるなか、当社は著作権等の保護と文化の健全な発展のため、かかる侵害行為に対して厳正かつ断固たる対応をとってまいります。なお、こうした違法な複製・頒布を目撃された場合や、著作権侵害行為とみられるウェブサイト等を発見された場合は、当社ホームページの「新規お問い合わせ」フォームにご一報いただければ幸いです。
侵害者 |
留学生向け予備校大手A社 |
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侵害された著作物 |
『知的財産法』他、他出版社の書籍も多数 |
侵害の概要 |
A社の事務担当者が、必要な許諾を得ることなく、当該著作物の背表紙を裁断し全ページを複製した電子データをハードディスクに保管。講師の依頼に基づき、1冊まるごと電子データを大量に印刷し教材として生徒に配布。 |
侵害者の狙い |
本来、生徒が購入すべき著作物(テキスト)をA社が無償で提供することをセールスポイントとして、生徒集めに利用していたもの。 |
対応経緯と結末 |
内部告発により発覚。出版社側から、無許諾での複製、配布等の実態報告と複製物等の即刻利用中止、配布物の回収・廃棄等について通告。誠意ある対応なき場合には、民事、刑事を問わずあらゆる法的措置をとることも併せて通告。全国紙でも報道された。 その後、A社は事実関係を認め、裁判所による証拠保全も行われ、弁護士を交えて損害額等の協議を行った結果、A社が各出版社に一定の損害額を支払うことで和解。 |
侵害者 |
行政書士B氏(B法務事務所) |
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侵害された著作物 |
『契約書作成の実務と書式』 |
侵害の概要 |
B法務事務所が開設するウェブサイトに、必要な許諾を得ることなく、当該著作物の記述内容を掲載。文体を「ですます調」に変え、見出し・改行位置・叙述の順番など若干の形式的修正を施しているものの、該当頁の文章のほぼ全文を盗用。故意に著作権者に無断で、同書をインターネット送信し得る状況を作出したもの。 |
侵害者の狙い |
B氏顧客への無償サービスの一環、新規顧客呼び込みの手段として利用。 |
対応経緯と結末 |
読者からの投書により発覚。当社より警告書を送付し、侵害停止措置、経緯と今後の対応についての回答を要求。侵害停止措置が講じられない場合には、法的手段に着手する旨も併せて通告。 B氏は非を認め、ウェブサイトから当該箇所を即刻削除しホームページも閉鎖。 当社は、侵害の悪質性から日本行政書士会連合会に対し、文書で報告し厳しい指導・処分を要請。 |
侵害者 |
保険コンサルタントⅭ社 |
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侵害された著作物 |
『マーケティング戦略』 |
侵害の概要 |
Ⅽ社が開設するウェブサイトに、必要な許諾を得ることなく、当該著作物の記述内容を章立てに沿って約3年間にわたり定期的に連載。文体や表記など若干の形式的修正を施しているものの、当該書籍のほぼ1冊分全部を盗用。著作権者に無断で、同書をインターネット送信し得る状況を作出したもの。 |
侵害者の狙い |
Ⅽ社顧客への無償サービスの一環、新規顧客呼び込みの手段として利用。 |
対応経緯と結末 |
読者からの投書により発覚。当社より警告書を送付し、侵害停止措置、経緯と今後の対応についての回答を要求。侵害停止措置が講じられない場合には、法的手段に着手する旨も併せて通告。 Ⅽ社からは、「当該コンテンツは企画制作を提携するⅮ氏に依頼して作成、掲載したものであるが、チェックを怠ったⅭ社自身に非がある」として、ウェブサイトから当該コンテンツを削除。 当社は、提携先Ⅾ氏に対しても同様の警告書を送付。Ⅾ氏も侵害の事実と自身に非があることを認め、既にコンテンツ制作事業は廃業しているものの、二度と侵害行為を行わないことを誓約。 |
侵害者 |
E大学 F教授 |
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侵害された著作物 |
『判例百選』 |
侵害の概要 |
E大学 F教授が、自身が作成したレジュメと合わせて、『判例百選』1冊をコピーし綴じ込み製本したうえで、生協にて有償販売したもの。 |
侵害者の狙い |
講義に使用する資料をまとめて、受講者向けに有償販売。 |
対応経緯と結末 |
当社営業担当が、大学生協にて発見。当社より、F教授に対して販売停止、販売実績報告等を要求。 F教授は、非を認め謝罪のうえ損害金を支払い和解。 |
侵害者 |
某大学某教授 |
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侵害された著作物 |
有斐閣アルマ『○○入門』 |
侵害の概要 |
某大学某教授が、当該書籍の1冊全部をPDF化し、受講生に送付。授業の課題として、これを読んでプレゼンを作成するよう指示したもの。 |
侵害者の狙い |
授業の一環として複製(PDF化)して配布。 |
対応経緯と結末 |
教授から指示を受けた受講生の一人が、「1冊PDFで送られて、プレゼンを作成せよとの指示がきた」との内容をツイッターに投稿。当社社員がこれを発見したもの。 投稿者に、先生の名前をツイッターにて問いただすも拒否された。 |