法律実務のパートナー
ジュリスト 2018年10月号(No.1524)
2018年09月25日 発売
定価 1,569円(本体 1,426円)
約120年ぶりに運送・海商規定を全面的に見直した平成30年商法改正。この改正は,現代の物流実態に合わせ航空・複合運送規定を整備するとともに,薬品等の危険物運送に係る規定を新設するなど,陸・海・空の運送業全般・保険業の契約実務に多大な影響を及ぼすものです。特集では,この改正の内容を概観し,今後の課題を展望します。
また,巻頭のHot issueでは,裁判手続のIT化を取り上げています。議論が始まった裁判手続のIT化がどこに向かい,今後どのような可能性があるのか,裁判官出身の実務家と研究者の対談で読み解きます。
【特集】商法(運送・海商関係)等の改正
◇はじめに――商法(運送・海商関係)等改正の意義●山下友信……14
◇国内陸上物品運送に関する改正●野村修也……20
◇複合運送・旅客運送●増田史子……26
◇海上運送・傭船契約●藤田友敬……32
◇海商(船舶,衝突,海難救助,先取特権等)●箱井崇史……38
◇海上保険・共同海損●石井 優●久保治郎……44
[HOT issue]
〔No.20〕裁判手続等のIT化をめぐって●福田剛久●笠井正俊……ⅱ
[会社法判例速報]
防衛策検討のための弁護士報酬と取締役の善管注意義務――東京高判平成30・5・9●弥永真生……2
[労働判例速報]
傷病休職中の「試し出勤」期間における賃金請求の可否――NHK(名古屋放送局)事件――名古屋高判平成30・6・26●森戸英幸……4
[独禁法事例速報]
混合型企業結合の分析方法――公取委平成30・6・6発表●柏木裕介……6
[知財判例速報]
リツイートによる著作者人格権侵害の主体――知財高判平成30・4・25●小泉直樹……8
[租税判例速報]
非居住者の税制適格ストックオプションの権利行使益に対する課税――国税不服審判所裁決平成29・8・22●藤岡祐治……10
[Information Lounge]
カスピ海の法的地位に関する条約●中谷和弘……62
[連載/知的財産法とビジネスの種]〔第12回〕
東京仲裁と知的財産●畑中麻子……64
[連載/働き手・働き方の多様化と労働法]〔第7回〕
人生100年時代の高年齢者雇用●柳澤 武……90
[連載/債権法改正と実務上の課題]〔第10回〕
請負契約の契約不適合責任●道垣内弘人●岡 正晶……76
[国会概観]
第196回国会の概観(上)●山岸健一……66
[最高裁時の判例]
民事
◇不動産は,商法521条が商人間の留置権の目的物として定める「物」に当たるか――最一小判平成29・12・14●土井文美……97
◇国境を越えて日本への連れ去りをされた子の釈放を求める人身保護請求において,意思能力のある子に対する監護が人身保護法及び同規則にいう拘束に当たるとされた事例/国境を越えて日本への連れ去りをされた子の釈放を求める人身保護請求において,拘束者が国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づく子の返還を命ずる終局決定に従わないまま子を監護することにより拘束している場合における,拘束の顕著な違法性――最一小判平成30・3・15●光岡弘志……100
刑事
◇郵便物の輸出入の簡易手続として税関職員が無令状で行った検査等について,関税法(平成24年法律第30号による改正前のもの)76条,関税法(平成23年法律第7号による改正前のもの)105条1項1号,3号によって許容されていると解することが憲法35条の法意に反しないとされた事例――最三小判平成28・12・9●馬渡香津子……103
◇参考人として警察官に対して犯人との間の口裏合わせに基づいた虚偽の供述をする行為が刑法(平成28年法律第54号による改正前のもの)103条にいう「隠避させた」に当たるとされた事例――最二小決平成29・3・27●石田寿一……110
[経済法判例研究会]
1回の入札を対象とする受注調整における一定の取引分野の画定及び相互拘束の認定について――東京都発注個人防護具入札談合事件――公取委排除措置命令平成29・12・12●隅田浩司……115
[商事判例研究]
◇違法な臨時運行許可証による未登録自動車と他車運転補償特約――大阪高判平成28・12・21●甘利公人……119
◇差押債権者の取立権に基づく自動車保険解約の可否――東京地判平成28・9・12●三宅 新……123
◇建築著作物における著作者・原著作者――ステラマッカートニー青山事件――知財高判平成29・10・13●髙野慧太……127
[労働判例研究]
◇親会社のコンプライアンス相談窓口の対応と民事責任――イビデン事件――最一小判平成30・2・15●中山慈夫……131
◇継続雇用の労働条件の提示に関する不法行為の成否――九州惣菜事件――福岡高判平成29・9・7●原 昌登……135
[租税判例研究]
租税協定に基づく情報交換要請取消等請求事件――東京地判平成29・2・17●漆 さき……139
[渉外判例研究]
保険債権先取特権の準拠法と公海上での船舶衝突に関する準拠法――東京高決平成29・6・30●横溝 大……143
[学会予告]
2018年度 秋季学会予告……147