法律実務のパートナー
ジュリスト 2017年9月号(No.1510)
2017年08月25日 発売
定価 1,466円(本体 1,333円)
グローバル化が進むビジネス環境において,企業が大きな影響を受ける可能性が高い課徴金制度。その改正を検討している公正取引委員会の独占禁止法研究会が,報告書を公表しました。本特集では,この報告書をベースに,新たに導入が検討されている裁量型課徴金制度をはじめとして,課徴金制度をめぐる改革の方向性を展望します。
また,時論では,耳目を集めたJASRACと音楽教室の著作権使用料をめぐる対立を含め,著作物の利用行為主体をめぐる議論を取り上げています。
【特集】課徴金制度改革のゆくえ――独占禁止法研究会報告書を受けて
◇独占禁止法の課徴金の見直し――独占禁止法研究会報告書の経緯と概要●宇賀克也……14
◇〔座談会〕独占禁止法の課徴金制度改革●宇賀克也●岸井大太郎●佐伯仁志●向井康二●向 宣明……20
◇課徴金制度と二重処罰●宍戸常寿……37
◇裁量型課徴金の導入と協調的法執行●曽和俊文……43
◇調査協力インセンティブを高める制度●岸井大太郎……50
◇手続保障●川出敏裕……57
[裁判官に聴く訴訟実務のバイタルポイント]〔第5回〕
医療訴訟(1)●門口正人●渡部勇次●手嶋あさみ……Ⅱ
[会社法判例速報]
大会社と会計限定監査役――大阪高判平成29・4・20●弥永真生……2
[労働判例速報]
高報酬の勤務医の定額残業代の労基法37条違反性――医療法人Y事件――最二小判平成29・7・7●水町勇一郎……4
[独禁法事例速報]
同等性条件がもたらす競争上の懸念が自発的措置により解消された事例――公取委平成29・6・1発表●滝澤紗矢子……6
[知財判例速報]
無効の抗弁と権利濫用の抗弁――最三小判平成29・2・28●小泉直樹……8
[租税判例速報]
外国子会社合算税制における適用除外要件の適否――デンソー事件――名古屋地判平成29・1・26●吉村政穂……10
[連載/不動産法の最前線]〔第6回〕
不動産信託受益権を巡る問題点●井手慶祐●麻生裕介……78
[連載/Book plaza]
契約ルール改正! 実務対応が必要です。●長田和美……70
[時論]
◇著作物の利用行為主体をめぐる議論と課題――音楽教室,ライブハウス,投稿サイト●上野達弘……72
◇ハーグ条約の運用状況と今後の課題●早川眞一郎……84
[最高裁時の判例]
民事
◇ある議案を否決する株主総会等の決議の取消しを請求する訴えの適否――最二小判平成28・3・4●大森直哉……91
◇不特定多数の消費者に向けられた事業者等による働きかけと消費者契約法12条1項及び2項にいう「勧誘」――最三小判平成29・1・24●松田敦子……95
◇私道の用に供されている宅地の相続税に係る財産の評価における減額の要否及び程度の判断の方法――最三小判平成29・2・28●日置朋弘……98
刑事
◇弁護士である弁護人が被告人の委託を受けて保管している同人の犯行状況とされるものを撮影録画したデジタルビデオカセットについて,刑訴法105条の「他人の秘密に関するもの」に当たらないとされた事例――最三小決平成27・11・19●細谷泰暢……102
◇侵害を予期した上で対抗行為に及んだ場合における刑法36条の急迫性の判断方法――最二小決平成29・4・26●中尾佳久……107
[経済法判例研究会]
農業協同組合による系統外出荷制限事件――公取委排除措置命令平成29・3・29●隅田浩司……110
[商事判例研究]
◇監査委員会の不提訴判断と監査委員の善管注意義務・忠実義務――東京地判平成28・7・28――東京高判平成28・12・7●高橋 均……114
◇適格消費者団体による不当表示の差止請求――クロレラチラシ事件――京都地判平成27・1・21――大阪高判平成28・2・25●山本裕子……118
◇認可のない接続方法を求める請求と独占禁止法24条の差止命令――ソフトバンク対NTT東西事件――東京地判平成26・6・19●大塚 誠……122
[労働判例研究]
◇地域スタッフの労契法上の労働者性と労契法の類推適用――NHK堺営業センター(地域スタッフ)事件――大阪地判平成27・11・30●皆川宏之……126
◇内部告発を理由とする懲戒解雇・解任の効力――学校法人矢谷学園ほか事件――広島高松江支判平成27・5・27●香川孝三……130
[租税判例研究]
外国子会社合算税制において地域統括会社の主たる事業が「株式保有業」に当たるとされた事例――名古屋高判平成28・2・10●大野雅人……134
[渉外判例研究]
消費者契約における管轄合意――東京地判平成27・1・27●金 彦叔……138
[学会予告]
2017年度 秋季学会予告……143