法律実務のパートナー
ジュリスト 2017年7月号(No.1508)
2017年06月24日 発売
定価 1,466円(本体 1,333円)
Google、Amazon、Facebookなどのいわゆるプラットフォーム企業が興隆する現在、そうした新たなビジネスモデルに対し、現行の法的枠組による対応をめぐり様々な議論がなされています。本特集では、平成29年4月に公表された流通・取引慣行ガイドライン改正案を契機に、プラットフォームをめぐる競争法上の諸課題や海外の事例を検討し、プラットフォームビジネスやICT・AI等の発展が今後の日本における独禁法実務に与えるインパクトを展望します。
また、HOT issue「オープンデータ活用のゆくえ」では、オープンデータとは何か、その活用のためにどのような制度設計が求められるのか、個人情報保護や著作権など様々な角度から検討します。平成28年12月に成立した官民データ活用推進基本法へ期待が寄せられるなか、注目のテーマです。併せて是非ご覧ください。
【特集】プラットフォームと競争法――流通・取引慣行ガイドライン改正を契機に
◇プラットフォーム等の問題を検討するにあたって●白石忠志……14
◇流通・取引慣行ガイドライン改正の概要●滝澤紗矢子……16
◇プラットフォームと流通・取引慣行ガイドライン●長澤哲也……22
◇シェアリングエコノミーの主要な特性と競争政策への示唆●増島雅和……28
◇個人データ保護と競争法●杉本武重……35
◇ビッグデータと単独行為●藤井康次郎●角田龍哉……42
◇ビッグデータと企業結合規制●帰山雄介……49
◇デジタルカルテルと競争法――AI・アルゴリズム・IoTは独禁法理論に変容をもたらすか●池田 毅……55
[HOT issue]
〔No.17〕オープンデータ活用のゆくえ●宍戸常寿●庄司昌彦●野口祐子……ⅱ
[会社法判例速報]
ホテル内出店マッサージ店の過誤と会社法9条の類推適用――大阪高判平成28・10・13●弥永真生……2
[労働判例速報]
じん肺管理区分に係る決定・裁決に対する取消訴訟の遺族への承継の可否――国・福岡労働局長事件――最一小判平成29・4・6●小西康之……4
[独禁法事例速報]
農家から商系事業者への販売委託を農協が制限したとされた事例――公取委平成29・3・29発表●辻 拓一郎……6
[知財判例速報]
マキサカルシトール製剤事件最高裁判決――最二小判平成29・3・24●小泉直樹……8
[租税判例速報]
私道供用宅地の相続税財産評価における減額の要否・程度の判断――最三小判平成29・2・28●浅妻章如……10
[連載/不動産法の最前線]〔第4回〕
売買契約当事者への宅建業法の適用●渡辺 晋……84
[連載/Book plaza]
専門分野は専門家に相談〈中小企業編〉●長田和美……80
[時論]
法教育の近況とビジネス・ロー●小粥太郎……63
[霞が関インフォ]消費者委員会
トクホの買上調査結果についての情報提供の在り方●河上正二……82
[Information Lounge]
修習給付金制度の創設(裁判所法の一部改正法)●藤田正人……114
[最高裁時の判例]
民事
◇就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の同意の有無についての判断の方法/合併により消滅する信用協同組合の職員が,合併前の就業規則に定められた退職金の支給基準を変更することに同意する旨の記載のある書面に署名押印をした場合において,上記変更に対する当該職員の同意があるとした原審の判断に違法があるとされた事例――最二小判平成28・2・19●清水知恵子……90
◇労働者が,業務を一時中断して事業場外で行われた研修生の歓送迎会に途中から参加した後,当該業務を再開するため自動車を運転して事業場に戻る際に,研修生をその住居まで送る途上で発生した交通事故により死亡したことが,労働者災害補償保険法1条,12条の8第2項の業務上の事由による災害に当たるとされた事例――最二小判平成28・7・8●林 史高……96
◇匿名組合契約の営業者が新たに設立される株式会社に出資するなどし,同社が営業者の代表者等から売買により株式を取得した場合において,営業者に匿名組合員に対する善管注意義務違反はないとした原審の判断に違法があるとされた事例――最三小判平成28・9・6●中野琢郎……102
刑事
◇情報源を公にしないことを前提とした報道機関に対する重要事実の伝達と金融商品取引法施行令(平成23年政令第181号による改正前のもの)30条1項1号にいう「公開」/情報源が公にされることなく会社の意思決定に関する重要事実を内容とする報道がされた場合における金融商品取引法(平成23年法律第49号による改正前のもの)166条1項によるインサイダー取引規制の効力――最一小決平成28・11・28●久禮博一……107
◇刑の執行猶予の言渡し取消し請求において刑訴規則34条により刑の執行猶予の言渡し取消し決定の謄本の送達を受けるべき者/刑の執行猶予の言渡し取消し請求における被請求人が選任した弁護人に対する刑の執行猶予の言渡し取消し決定の謄本の送達の効果――最二小決平成29・1・16●石田寿一……110
[経済法判例研究会]
鍵付き鞄の販売業者による取引妨害,不当利益による顧客誘引等の差止請求事件――東京地判平成27・8・27●岩本 諭……116
[商事判例研究]
◇車両損傷事案における保険事故の立証――札幌高判平成27・9・29●梅村 悠……120
◇会社関係者がその職務に関し重要事実を知ったか否かの判断――東京地判平成28・9・1●段 磊……124
◇インサイダー取引規制における「その他の従業者」の意義――会社経営に関与していた支配株主の場合――最二小決平成27・4・8●津野田一馬……128
[労働判例研究]
◇継続雇用で提示された労働条件の適法性――トヨタ自動車ほか事件――名古屋高判平成28・9・28●原 昌登……132
◇未払賃金等の支払債務を免れるための偽装解散の法人格濫用性と責任の帰属――メルファインほか事件――京都地判平成28・4・15●水町勇一郎……136
[租税判例研究]
固定資産税に係る滞納処分としての信託財産に対する差押えの可否――最三小判平成28・3・29●阿部雪子……140
[渉外判例研究]
一定の法律関係を対象としない国際裁判管轄合意を無効とした事例――東京地中間判平成28・2・15●加藤紫帆……144