法律実務のパートナー
ジュリスト 2017年6月号(No.1507)
2017年05月25日 発売
定価 1,466円(本体 1,333円)
現在,政府が進めている「働き方改革」や,長時間労働の問題など,労働契約に関連する話題は後を絶ちません。労働契約についての基本的ルールを初めて明文化した労働契約法は,今年で制定から10年を迎えました。本特集では,この10年間の,労働契約を巡る実務や裁判例等の動向を概観し,労働契約法の今後のあり方に対しても考察を加えます。
さらに, GPS捜査に関する最高裁大法廷判決(平成29年3月15日)を「時の判例」で,グーグルの検索結果削除についての最高裁決定(同年1月31日)は「時の判例」と「時論」で,それぞれ取り上げました。いずれも大変注目を浴びた事例ですので,是非併せてご覧ください。
【特集】労働契約法の10年とこれから
◇[座談会]労働契約法の10年を振り返って●岩村正彦●荒木尚志●木下潮音●水口洋介……14
◇労働契約法の10年――制定・展開と課題●荒木尚志……34
◇労働契約法総則3規定の意義と課題●土田道夫……40
◇就業規則の労働契約に対する効力●島田陽一……46
◇労働契約法の下における解雇法理の現状と課題●山下 昇……53
◇有期労働契約に関する法規制●島田裕子……59
◇労働審判をめぐる問題点――労働者側代理人としての考察●君和田伸仁……66
◇労働契約法の機能と労働審判――使用者側代理人としての考察●峰 隆之……69
[裁判官に聴く訴訟実務のバイタルポイント]
〔第4回〕建築訴訟(2)●門口正人●齋藤繁道●三輪方大……82
[会社法判例速報]
株主総会の決議により代表取締役を定めることができる旨の定款の定めの有効性――非公開会社の場合――最三小決平成29・2・21●弥永真生……2
[労働判例速報]
契約社員と正社員との労働条件の相違は「不合理」か――メトロコマース事件――東京地判平成29・3・23●森戸英幸……4
[独禁法事例速報]
市場シェア100%となる企業結合における行動的な問題解消措置の例――公取委平成29・1・30発表●酒匂景範……6
[知財判例速報]
「緩衝剤」の解釈――知財高判平成29・3・8●黒田 薫……8
[租税判例速報]
相続税額減少を主目的とした養子縁組の効力――最三小判平成29・1・31●佐藤英明……10
[連載/不動産法の最前線]〔第3回〕
宅建業法上の重要事項説明●望月治彦……95
[連載/Book plaza]
配慮・雇用される側を考える 明日は我が身●長田和美……80
[時論]
◇働き方改革をめぐって●仁田道夫……74
◇検索サービスにおける表現の自由とプライバシー――最高裁平成29年1月31日決定●鈴木秀美……101
[霞が関インフォ]消費者委員会
地方消費者行政の強化とその課題●河上正二……72
[最高裁大法廷時の判例]刑事
車両に使用者らの承諾なく秘かにGPS端末を取り付けて位置情報を検索し把握する刑事手続上の捜査であるGPS捜査は令状がなければ行うことができない強制の処分か――最大判平成29・3・15●伊藤雅人●石田寿一……106
[最高裁時の判例]
民事
◇地方税法施行令附則6条の17第2項にいう「居住の用に供するために独立的に区画された部分が100以上ある共同住宅等」の該当性の判断――最一小判平成28・12・19●日置朋弘……116
◇検索事業者に対し,自己のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL並びに当該ウェブサイトの表題及び抜粋を検索結果から削除することを求めることができる場合――最三小決平成29・1・31●髙原知明……119
[経済法判例研究会]
施主代行業務を受託した者が工事業者間の共同行為を誘発した事例――低温空調設備工事事件――公取委排除措置命令平成27・1・20●渕川和彦……123
[商事判例研究]
◇政令数値未満の酒気帯び運転による保険者免責の可否――名古屋地判平成27・3・25●三宅 新……127
◇自殺免責条項適用の可否――重度ストレス反応及び適応障害に罹患した者の自殺の場合――甲府地判平成27・7・14●王 学士……131
◇公開買付価格の決定過程への介入と取締役の善管注意義務違反――大阪高判平成27・10・29●李 胡興……135
[労働判例研究]
◇有期労働契約の更新限度期間満了時の無期労働契約への変更――福原学園(九州女子短期大学)事件――最一小判平成28・12・1●竹内(奥野) 寿……139
◇歓送迎会後工場に戻る際の研修生自宅送り途上事故死と業務上認定――国・行橋労基署長(テイクロ九州)事件――最二小判平成28・7・8●小西康之……143
[租税判例研究]
個人による法人持分の他の法人への低額譲渡とみなし贈与課税――東京高判平成27・4・22●川田 剛……147
[渉外判例研究]
ブラウン管に関する国際カルテルに対する排除措置命令の適否――東京高判平成28・4・13●横溝 大……151