法律実務のパートナー
ジュリスト 2016年9月号(No.1497)
2016年08月25日 発売
定価 1,466円(本体 1,333円)
企業が震災に直面した際,その活動を継続・再開するにあたっては,多くの法的問題と向き合わなければなりません。東日本大震災の発生後にも,多数の企業が訴訟に巻き込まれるなど,震災時の法的リスクは非常に大きなものとなっています。
あれから5年が経ち,熊本地震という新たな危機が発生したいま,企業の震災対応はどうあるべきか。企業法務の視点から,平時の備え・緊急対応の実務を解説します。
熊本地震でのご経験を元に,行政の視点から震災対応における今後の課題をご検討いただいた「Information Lounge」,オリンピック招致の疑惑を契機として,外国公務員・民間贈収賄についてご解説いただいた「時論」にもご注目ください。
【特集】震災と企業法務
◇〔鼎談〕震災と企業の対応――防災・BCPを中心に●松井秀樹●中野明安●津久井 進……12
◇震災と株主・投資家対応●松井秀樹……30
◇震災時の労務対応●荒井太一……37
◇震災と契約法務●荒井正児……43
◇震災と金融業務●小田大輔●吉田和央……49
[会社法判例速報]
子会社の粉飾決算と親会社の不法行為責任――東京高判平成28・1・21●弥永真生……2
[労働判例速報]
歓送迎会終了後の送迎行為の業務遂行性――行橋労基署長事件――最二小判平成28・7・8●森戸英幸……4
[独禁法事例速報]
IT事業分野での事業統合について水平型及び混合型の企業結合が審査された事例――公取委発表平成28・6・8●東 貴裕……6
[知財判例速報]
延長登録された特許権の効力――東京地判平成28・3・30●小泉直樹……8
[時論]
外国公務員・民間贈収賄の防止法制――スポーツ界の特殊性を念頭に●広瀬元康……58
[連載/国際ビジネス紛争処理の法実務]〔第6回〕国際的な証拠調べ
◇INTRODUCTION●道垣内正人●古田啓昌……66
◇外国所在書類の提出命令●島田まどか……67
◇外国からの要請に基づき日本で行われる証拠調べ●一井泰淳……70
[Information Lounge]
熊本地震の現場から●木村 敬……56
[霞が関インフォ]
消費者委員会―電力託送料金に関する調査会報告書について●河上正二……74
[最高裁時の判例]
〔民事〕
◇国立大学法人が所持しその役員又は職員が組織的に用いる文書についての文書提出命令の申立てと民訴法220条4号ニ括弧書部分の類推適用/民訴法220条4号ロにいう「公務員」には国立大学法人の役員及び職員も含まれるか――最一小決平成25・12・19●加本牧子……76
◇法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」の意義及びその該当性の判断方法/甲社が乙社の発行済株式全部を買収して乙社を完全子会社とし,その後乙社を吸収合併した場合において,甲社の代表取締役社長が上記買収前に乙社の取締役副社長に就任した行為が,法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たるとされた事例/法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「その法人の行為又は計算」の意義――最一小判平成28・2・29●徳地 淳●林 史高……80
◇法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」の意義及びその該当性の判断方法/新設分割により設立された分割承継法人の発行済株式全部を分割法人が譲渡する計画を前提としてされた当該分割が,法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たるとされた事例/法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「その法人の行為又は計算」の意義――最二小判平成28・2・29●徳地 淳●林 史高……91
〔刑事〕
◇受訴裁判所によってされた刑訴法90条による保釈の判断に対する抗告審の審査の方法/詐欺被告事件において保釈を許可した原々決定を取り消して保釈請求を却下した原決定に刑訴法90条,426条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例――最一小決平成26・11・18●伊藤雅人●細谷泰暢……99
◇刑事施設にいる被告人から交付された上訴取下書を刑事施設職員が受領した場合と刑訴法367条の準用する同法366条1項にいう「刑事施設の長又はその代理者に差し出したとき」――最二小決平成26・11・28●馬渡香津子……103
[経済法判例研究会]
業界紙を利用した不当な取引制限における合意の存在が認められた事例――公取委審判審決平成28・4・15●洪 淳康……107
[商事判例研究]
◇正当な理由のない解任と損害賠償――東京地判平成27・6・22●弥永真生……111
◇公認会計士協会による懲戒処分を争う訴えの法律上の争訟性――大阪高判平成26・2・27●津野田一馬……115
◇MBOが頓挫した場合における取締役の責任――神戸地判平成26・10・16●プームパット・ウドムスワンナクン……119
[労働判例研究]
◇能力不足を理由とする解雇の有効性――海空運健康保険組合事件――東京高判平成27・4・16●野川 忍……123
◇外国人労働者と受入企業との黙示の労働契約の成否――アンデンほか1社事件――名古屋地岡崎支判平成26・4・14●香川孝三……127
[租税判例研究]
地方税法11条の8にいう徴収不足要件の意義――最二小判平成27・11・6●渕 圭吾……131
[学会予告]
2016年度 秋季学会予告……135