法律実務のパートナー
ジュリスト 2013年10月号(No.1459)
2013年09月25日 発売
定価 1,466円(本体 1,333円)
あの大震災から2年半が過ぎようとしています。
動きの速い現代社会においては致し方ない面もあるのかもしれませんが、被災地の現状、被災者の声を伝える報道も、日々その紙面を他に譲りつつあります。しかし、この2年半で、現地では、何がどこまで変わったのでしょうか。
去る183回国会で成立した被災関連二法(大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の一部を改正する法律)は、大規模災害の窮状を不動産法制の面で救済しようとするものです。
まずは、わが国不動産法制の歴史的背景を踏まえながら、これら二法の正確な内容をお伝えすること。しかし、編集作業中、座談会・ご論攷の一言一句に至るまで、被災地復興に向けた熱い思いを感じとらずにはいられませんでした。
ジュリストは、震災のその後を追い続けます。
いつか、復興の道筋を辿れるように。
【特集】被災関連二法と,これからの不動産法制
〔座談会〕震災からの復興と被災関連二法●山田誠一●岡山忠広●山野目章夫●山谷澄雄……12
◇被災関連二法の概要●岡山忠広……39
◇被災地借地借家法における借地権に関する特例●吉政知広……46
◇被災地短期借地権●津久井 進……52
◇大規模な災害による区分所有建物の全部の滅失または大規模な一部の滅失――敷地売却決議,および,建物敷地売却決議について●山田誠一……58
◇改正被災マンション法の団地規定について●鎌野邦樹……64
[会社法判例速報]
全部取得条項付種類株式の取得差止め――東京地決平成25・7・17●弥永真生……2
[独禁法事例速報]
地方の有力小売業者について,優越的地位を認定した事例――ラルズ事件――公取委命令平成25・7・3●秋葉健志……4
[知財判例速報]
著作者の名誉声望の侵害――東京地判平成25・7・16●小泉直樹……6
[租税判例速報]
競馬の払戻金を雑所得とし外れ馬券の購入費用を必要経費に算入した事例――大阪地判平成25・5・23●佐藤英明……8
[国会概観]
第183回国会の概観(上)●川﨑政司……72
[連載/著作権法のフロンティア]〔第10回〕
侵害主体ないしクラウド●増田雅史……82
[連載/担保・執行・倒産の現在]〔第22回〕
別除権協定に基づく債権の取扱い●中井康之……90
[霞が関インフォ]
消費者委員会―高齢消費者への詐欺的投資勧誘被害に対する総合的対策●河上正二……70
[最高裁時の判例]
民事
◇権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を有する債権者が,当該社団の構成員全員に総有的に帰属し,当該社団のために第三者がその登記名義人とされている不動産に対して仮差押えをする場合における申立ての方法――最二小決平成23・2・9●榎本光宏……98
刑事
◇労働基準法32条1項(週単位の時間外労働の規制)違反の罪と同条2項(1日単位の時間外労働の規制)違反の罪との罪数関係――最三小決平成22・12・20●入江 猛……101
◇保護処分決定で認定された日には非行事実の存在が認められないが,これと異なる日に事実の同一性のある範囲内で同一内容の非行事実が認められる場合と少年法27条の2第2項による取消しの要否/保護処分取消し申立て事件において,事実の同一性のある範囲内で保護処分決定と異なる非行事実を認定するに当たり,申立人に対して十分に防御の機会を与えているとされた事例――最一小決平成23・12・19●野原俊郎……105
[経済法判例研究会]
審決案に対する審査官の異議が初めて出され,委員会の判断が示された事例――岩手談合課徴金事件――公取委審判審決平成25・5・22●越知保見……110
[商事判例研究]
◇冷凍食品の製作物供給契約における製造者の責任――大阪地判平成22・7・7●土田 亮……115
◇下請運送人の行為についての運送人の荷受人に対する責任――使用者責任が否定された事例――大阪地判平成23・1・13●後藤 元……119
◇金利スワップ取引と銀行の説明義務違反の有無――最一小判平成25・3・7●天谷知子……123
[労働判例研究]
◇有期労働契約社員の一時休業時の賃金請求権,雇止めの効力――いすゞ自動車(雇止め)事件――東京地判平成24・4・16●木下潮音……127
◇労働能力不足の解雇理由と「将来的予測の原則」の適用――クレディ・スイス証券(休職命令)事件――東京地判平成24・1・13●徳住堅治……131
[租税判例研究]
類似法人の平均役員報酬額を超える部分は損金に算入できないとされた事例――東京高判平成23・2・24●佐藤直人……135
[学会予告]
受贈図書・2013年度 秋季学会予告……139