法律実務のパートナー
ジュリスト 2012年6月号(No.1442)
2012年05月25日 発売
定価 1,466円(本体 1,333円)
■月刊ジュリスト6月号の特集は,優越的地位の濫用です。課徴金が導入され,山陽マルナカ・日本トイザらス・エディオンなど,実際に多額の課徴金納付命令が出されたことにより,優越的地位の濫用に該当するかどうかは,企業間取引において気をつけなければならない重要ポイントになりました。しかし,その規制は行きすぎれば,企業間の自由な取引を阻害する可能性もあり,どこまで許され,どこから規制されるのか,その明確な線引きは容易ではありません。本特集では,実際に課徴金が課された事例等を参考にしつつ,規制の現状,及びそれに対する対策について,金融,フランチャイズ,裁判実務といった実務上の様々な視点から検討を加えます。
■また,巻頭のTOP RUNNERは,内閣法制局の山本庸幸長官です。法の動きが激しい今,法解釈の司令塔として,どんなことを感じ,これからの展開をどのように見ているのか。これからの法実務を考える上で,有益なインタビューです。
【特集】優越的地位の濫用とは?――その現状と対策 ◇目次……11
◇優越的地位濫用規制の概要●白石忠志……12
◇〔鼎談〕優越的地位濫用をめぐる実務的課題●白石忠志●長澤哲也●伊永大輔……16
◇課徴金導入後の「優越的地位の濫用」事例の検討●滝澤紗矢子……33
◇下請法違反の予防のポイント●多田敏明……38
◇フランチャイズと優越的地位の濫用●平山賢太郎……44
◇金融機関と優越的地位の濫用●梅澤 拓……50
◇民事訴訟における優越的地位の濫用●秋吉信彦……56
[TOP_RUNNER]〔No.6〕山本庸幸 ……ⅱ
[連載・担保・執行・倒産の現在]〔第6回〕 建築請負代金のための商事留置権と土地抵当権●小林明彦……64
[連載・特許法のフロンティア]〔第6回〕 国際裁判管轄と準拠法●大野聖二……72
[会社法判例速報] 行使条件に反する新株予約権行使による株式の発行――最三小判平成24・4・24●弥永真生……2
[独禁法事例速報] 入札談合等における「一定の取引分野における競争の実質的制限」の解釈――多摩談合最高裁判決――最一小判平成24・2・20●大久保直樹……4
[知財判例速報] ピンク・レディー事件上告審――最一小判平成24・2・2●小泉直樹……6
[租税判例速報] 移転価格税制の適用に当たり推定課税が認められた事例――東京地判平成23・12・1●宮塚 久……8
[霞が関インフォ] 消費者委員会-公共料金について●河上正二……62
[海外法律実務便り] ベトナム―ベトナムにおけるM&A 取引の留意点●古角和義……70
[最高裁時の判例] 〔民事〕
◇特許権又は専用実施権の侵害差止めを求める仮処分事件において特許法105条の4第1項に基づく秘密保持命令の申立てをすることの可否――最三小決平成21・1・27●山田真紀……77
〔刑事〕
◇被害者の証人尋問において,捜査段階で撮影された被害者による被害再現写真を示すことを許可した裁判所の措置に違法がないとされた事例/証人に示した写真を刑訴規則49 条に基づいて証人尋問調書に添付する措置について,当事者の同意は必要か/独立した証拠として採用されていない被害再現写真を示して得られた証言を事実認定の用に供することができるか――最一小決平成23・9・14●上岡哲生……80
◇刑事裁判における国民の司法参加と憲法/裁判員制度と憲法31条,32条,37条1項,76条1項,80条1項/裁判員制度と憲法76条3項/裁判員制度と憲法76条2項/裁判員の職務等と憲法18 条後段が禁ずる「苦役」――最大判平成23・11・16●西野吾一……83
[経済法判例研究会] 課徴金算定率にかかわる業種の認定と課徴金減免申請における先順位申請者――光ファイバケーブル製品の製造業者による価格カルテル事件――公取委審判審決平成23・12・15●森平明彦……93
[商事判例研究] ◇保険契約者の同居の親族による故意の事故招致と保険者免責――横浜地判平成21・9・18●伊藤雄司……97
◇経営判断と取締役の責任――アパマンショップHD 株主代表訴訟事件――最一小判平成22・7・15●田中 亘……101
◇不当な取引制限における受注調整の違反要件――東京高判平成21・12・18●洪 淳康……105
[労働判例研究] ◇障害を持つ労働者に関する業務の過重性判断――国・豊橋労基署長(マツヤデンキ)事件――名古屋高判平成22・4・16●笠木映里……109
◇労基法41条2号該当者の深夜割増賃金請求権――ことぶき事件――最二小判平成21・12・18●野川 忍……113
[租税判例研究] ソフトウェアに係る著作権の帰属について――知財高判平成22・5・25●平石雄一郎……117
[渉外判例研究] 船荷証券上の選択的な専属的国際裁判管轄条項――東京地判平成20・9・24●増田史子……120