法律実務のパートナー
ジュリスト 2012年5月号(No.1441)
2012年04月25日 発売
定価 1,466円(本体 1,333円)
人は企業にとって最大の投資であり、コストでもあります。反面、労働者にとって労働に伴う対価は生活の糧であり、その条件は容易に切り下げることができません。長引く不況と多様化する就業形態、グローバル化する企業経営――企業と労働者を取り巻く環境は変化の渦中にあります。一律定年制・終身雇用を前提とした従来の雇用形態は変化を迫られ、多様な人材と働き方を「使いこなす」技術が企業には求められています。
人材をコストとのみ考え、その切下げばかりに走りすぎては法に抵触する可能性があり、禁止条項・最低保障条項を中心とした労働法制のみにとらわれていても、人材の有効な活用はできません。
5月号の特集では、合理性と合法性をバランスさせた、これからの企業に求められる人事管理のあり方を、HRMと労働法の対話から探ります。企業と労働者がWin-Winの関係となれる人事管理の方途を、ぜひ本特集とともに考えてみてください。
【特集】企業経営と人事管理のこれから ◇目次……11
◇人事管理における非正規社員の公正性●島貫智行……12
◇退職・雇用調整●廣石忠司……18
◇高年齢者雇用と公正原理――選抜における合意形成と正義の分配原則●高木朋代……24
◇個別労働紛争と人事労務管理――法・経営・社会学の視座から●野瀬正治……30
◇公平な人事評価のための3つの視点●髙橋 潔……37
◇[対談]これからの人事管理――HRMと労働法の対話●守島基博●大内伸哉……43
[TOP_RUNNER]〔第5回〕 ●竹島一彦……ⅱ
[会社法判例速報] 株式買取請求における公正な価格――最二小決平成24・2・29●弥永真生……2
[独禁法事例速報] HDD事業統合に係る企業結合審査――公取委公表平成23・12・28●伊藤憲二……4
[知財判例速報] プロダクト・バイ・プロセス・クレ-ムの解釈――知財高判平成24・1・27●小泉直樹……6
[租税判例速報] 養老保険の保険料と所得税法34条2項の「支出した金額」――最二小判平成24・1・13●髙橋祐介……8
[連載・債権法改正の争点〔第13回・完〕役務提供契約] ◇役務提供契約の再編成について●板垣修司●水野博章……70
◇役務提供型契約の類型と規律●池本誠司……74
◇「役務提供型契約」について●水口洋介……78
◇役務提供契約における類型の意義と規定の射程●丸山絵美子……83
[連載・担保・執行・倒産の現在〔第5回〕] 資産流動化取引における倒産不申立て特約と責任財産限定特約●後藤 出……90
[連載・特許法のフロンティア〔第5回〕] 冒認――共同出願違反を中心に●飯田 圭……97
[Information Lounge] 税務手続の整備について●小幡純子……88
[海外法律実務便り] ベトナム―ベトナム労働法をめぐる動き●古角和義……104
[最高裁時の判例] ◇消費者契約法10条と憲法29条1項/賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料の支払を約する条項の消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」該当性――最二小判平成23・7・15●森冨義明……106
◇長期譲渡所得に係る損益通算を認めないこととした平成16年法律第14号による改正後の租税特別措置法31条の規定をその施行日より前に個人が行う土地等又は建物等の譲渡について適用するものとしている平成16年法律第14号附則27条1項と憲法84条――最一小判平成23・9・22●小林宏司……110
[経済法判例研究会] 国内商標権譲渡後の外国商標権者製商品の輸入――コンバース事件――知財高判平成22・4・27●渡辺昭成……115
[商事判例研究] ◇取締役在任中における従業員の引抜きと不法行為――東京地判平成22・7・7●久保大作……119
◇精神障害による自殺未遂と高度障害保険金請求――奈良地判平成22・8・27●遠山 聡……123
◇不動産投資ファンドのレバレッジリスクに係る説明義務――大阪地判平成22・10・28●段 磊……127
[労働判例研究] ◇育休復帰・時短申出後の職務等級引下げと賃金減額の有効性――コナミデジタルエンタテインメント事件――東京地判平成23・3・17●神吉知郁子……131
◇私立高校非常勤講師に対する多数回更新後の雇止めの適法性――学校法人加茂暁星学園事件――新潟地判平成22・12・22●小西康之……135
[租税判例研究] ストックアワード確定時に取得する経済的利益を給与所得とした例――大阪高判平成20・12・19●増井良啓……139
[渉外判例研究] 北朝鮮国籍者の国際特許出願とPCTの適用――東京地判平成23・9・15●金 彦叔……143
[学会予告] 受贈図書・2012年度 春季学会予告……147