法律実務のパートナー
ジュリスト 2011年11月15日号(No.1433)
2011年11月10日 発売
定価 1,466円(本体 1,333円)
■第1特集では、6月に成立した介護保険法等一部改正法を取り上げます。少子高齢化が急速に進む中、安定的かつ実効的な介護法制の確立は喫緊の課題です。しかし、財源の確保等、問題は山積しており、今回の改正も小幅なものにとどまりました。しかし、そこで提唱されている「24時間居宅介護保障」と「地域包括ケア」の理念は、今後の道標となる重要なものです。介護は、すべての人に無縁ではありません。「いつか来る日」を想いながら、現在の到達点を確認してみてください。
■第2特集では、第177回国会で成立した原子力損害賠償支援機構法について、経緯・概要をご解説いただくとともに、同法も含め原子力事故の損害賠償をめぐる法制について論じていただきました。9月に設立され現地でその活動も進められている機構ですが、日々の報道では評価・批判が種々入り乱れているようです。金銭面の事情や多くの感情も交ざるところではありますが、法制度としてはいかにあるべきか。本特集を基にご一考ください。
【特集1】求められる介護サービスと法の取組 ◇介護保険法改正の評価と今後の課題●石橋敏郎……8
◇24時間安心の居宅介護保障と介護保険――定期巡回・随時対応型訪問介護看護の創設をめぐって●稲森公嘉……15
◇地域包括ケアシステムの構築●田中 滋……22
【特集2】原子力損害賠償法制の現状と課題 ◇原子力損害賠償支援機構法の制定と概要●有林浩二……32
◇福島第一原発事故による損害賠償と賠償支援機構法――不法行為法学の観点から●大塚 直……39
◇政府の援助の義務と電力会社のガバナンス●森田 章……45
[視点] スポーツ基本法制定の意義と課題●奥島孝康……2
[海外法律情報] ◇ノルウェー―保健およびケアサービス法●木下淑恵……7
◇アメリカ―連邦政府債務上限引上げとFOIA加速法案●等 雄一郎……29
[国会概観] 第177回国会の概観(上)●中島厚夫……54
[論文] 事故調査と刑事司法(下)――「事故調査機関の在り方に関する検討会」の「取りまとめ」をめぐって●笹倉宏紀……64
[特別座談会] 民事裁判の一層の充実・迅速化に向けて(2)――最高裁迅速化検証報告書を受けて●山本和彦(司会)●山本克己●中尾正信●古賀政治●福井章代●本田能久……75
[連載・信託法セミナー〔第14回〕] 受託者の義務(3)●能見善久●道垣内弘人(司会)●沖野眞已●藤田友敬●井上 聡●田中和明……94
[会社法判例速報] 電話会議による取締役会決議――福岡地判平成23・8・9●弥永真生……30
[租税判例速報] 相続税法4条1項の「受益者」該当性が否定された事例――名古屋地判平成23・3・24●宮塚 久……52
[知財判例速報] 意匠の類比判断――大阪地判平成23・9・15●小泉直樹……62
[時の判例] ◇公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和40年北海道条例第34号)2条の2第1項4号にいう「卑わいな言動」の意義/公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和40年北海道条例第34号)2条の2第1項4号の「卑わいな言動」の要件は不明確か/ズボンを着用した女性の臀部を撮影した行為が,被害者を著しくしゅう恥させ,被害者に不安を覚えさせるような卑わいな言動に当たるとされた事例――最三小決平成20・11・10●三浦 透……114
◇分譲マンションの各住戸にビラ等を投かんする目的で,同マンションの共用部分に立ち入った行為につき,刑法130条前段の罪が成立するとされた事例/分譲マンションの各住戸に政党の活動報告等を記載したビラ等を投かんする目的で,同マンションの共用部分に管理組合の意思に反して立ち入った行為をもって刑法130条前段の罪に問うことが,憲法21条1項に違反しないとされた事例――最二小判平成21・11・30●西野吾一……117
[経済法判例研究会] 入札談合に参加する認識が否定された事例――大森工業事件(平成23年6月24日)――東京高判平成23・6・24●越知保見……120
[商事判例研究] ◇粉飾決算を看破できなかった監査法人の債務不履行責任――ナナボシ事件――大阪地判平成20・4・18●田澤元章……124
◇株主代表訴訟による株式移転後の取締役の責任追及――東京地判平成20・3・27●陳 若嵐……128
[刑事判例研究] 保釈された者につき,刑訴法96条3項所定の事由が認められる場合,刑事施設に収容され刑の執行が開始された後に保釈保証金を没取することができるか――最一小決平成21・12・9●安永健次……132
[労働判例研究] リハビリ勤務に従事していた者の休職期間満了による退職取扱い――西濃シェンカー事件――東京地判平成22・3・18●石﨑由希子……137
[租税判例研究] 弁護士会から受け取る法律相談業務報酬の事業所得性――大阪高判平成21・4・22●佐藤英明……141