六法編集部から……
今年は、昨年のような国会会期の大幅延長もなく、落ち着いた中で平成29年版の刊行準備に取りかかっています。平成29年版では、今年の国会で成立した改正を反映させることはもとより、使いやすさ・読みやすさを追求した工夫の検討も行っています。ある工夫を採ることで別の価値を損なう面もあり、バランスが難しいところですが、よりよい六法となるよう、編集室一同知恵を絞っております。秋からの六法にご期待下さい。 (K)
雑誌編集部から……
会社法施行10年を機に、ジュリスト7月号特集「会社法施行10年の実情と課題」では、社会が要請する企業法制のあり方を巡るこの間の議論を振り返りながら、将来に向けた課題を検討します。法学教室7月号特集は「責任能力を巡る諸問題」です。「責任能力の意義」といった刑法の典型論点に加え「刑事責任の法哲学的基礎づけ」「精神障害のある犯罪者等の処遇」といった項目を取り上げます。実務に学習にお役立て下さい。 (K2)
法律編集部から……
参議院選挙で争点となっている憲法に関する書籍の刊行が続きます。阪田雅裕『憲法9条と安保法制――政府の新たな憲法解釈の検証』は、もっぱら法的視点に立って、政府の新しい憲法解釈と安保法制が抱える問題点を検証します。憲法をめぐる最新の議論を踏まえた本格的注釈書である長谷部恭男編『注釈日本国憲法』全4巻は、この秋、人権部分の前半を扱う第2巻を刊行します。国の礎である憲法をじっくり考える書、ご期待ください。 (Z)
経済・人文編集部から……
5月末に伊勢志摩サミットが開かれ、TPPの議論も活発になされました。絶妙なタイミングにて、アジア太平洋地域のFTAやTPPをめぐる主要国の内政・外交を分析し、今後を考える『FTA・TPPの政治学』が刊行されました。また、子どもの学力についても国際的な関心が高まっています。家庭環境・経済状況のデータに基づいて、教育と社会経済的要因の因果関係に迫る『学力・心理・家庭環境の経済分析』が刊行です。 (S)
編集後記
佐藤俊樹先生の連載「ウェーバーの社会学方法論の生成」がスタートします。その第1回では、ウェーバーの社会学方法論の形成をみていくことは、「日本で大きな学術的かつ政策的課題となっている、文科系/理科系の研究教育のあり方を考える上でも重要な示唆をあたえてくれる」と述べられており、今後の展開が注目されます。
一方、2つの連載が終了します。
まずは藤田宙靖先生の「残照の中に」。金華山、厳島、鵜島、鳴子、十和田、仙台など、日本各地の様子や人々との交流が描かれるとともに、震災、地域の復興、文化財など各地域にまつわる重要な問い掛けがなされ、深い余韻の残る内容でした。
そして田中洋先生の「ブランド戦略論の原理」。今熱い関心が寄せられているブランドについて、交換とブランド価値、ブランドの情報と意味、ブランドのありよう、ブランド価値はなぜ生じたのかなど、斬新な切り口から興味深い事例を織り交ぜつつ考察が加えられました。 (M)