第1章 ロボット・AIと法をめぐる動き(宍戸常寿) Ⅰ はじめに ロボット・AI ブーム/ロボット・AI と法の関わり/本章のねらい Ⅱ ロボット・AI とは? ロボットとは?/AIとは?/ロボット・AIの何が新しいのか? Ⅲ ロボット・AI による社会変革 時間軸―シンギュラリティ?/「第4次産業革命」と「Society5.0」/日本におけるロボット・AI政策の力点 Ⅳ ロボット・AI の社会的影響と対応 ロボット・AIの社会的影響とリスク/リスク社会における科学と社会の関係/ロボット・AIの開発・利活用について留意すべき点 Ⅴ ロボット・AI と法(学) ロボット・AIがもたらす法(学)の課題/ロボット・AIによる法のパラダイムシフト?/「ロボット・AI法」の独自性 Ⅵ おわりに――本書の概観 国内外の動向/理論的検討/各論的検討 第2章 ロボット・AIと法政策の国際動向(工藤郁子) Ⅰ はじめに 「ロボット・AI と法」は,こわくない?/法政策のデザイン/本章の構成 Ⅱ 欧州 ロボティクス規制に関するガイドライン/ロボティクスに関する民事法的規則/「モノづくり」と法政策 Ⅲ 米国 IT産業と法政策/AIの未来に備えて Ⅳ おわりに 第3章 ロボット・AIと自己決定する個人(大屋雄裕) Ⅰ 法システムの基礎 分割不能な個人/保護と排除の法 Ⅱ 自己決定の自律性への問い 認知科学の挑戦/アーキテクチャの権力/幸福への配慮/あらたな可能性 Ⅲ 意識されない操作と統制 規制への意識/no way out(出口なし) Ⅳ 行為者の人格性への問い 人と物の世界/人間の条件 Ⅴ 人格なき社会への展望 COLUMN サイボーグをめぐる問題 第4章 ロボット・AIは人間の尊厳を奪うか?(山本龍彦) Ⅰ はじめに Ⅱ 個人の尊重原理とは何か Ⅲ 集団と個人――個人の尊重原理・第2層をめぐる考察 アルゴリズム上のバイアス/セグメントに基づく確率的な判断―個人主義とセグメント主義との相剋/「過去」の拘束 Ⅳ 個人の自律――個人の尊重原理・第3層を巡る考察 不条理な没落/他者的「家族」としての接近/コピーロボットへの接近 Ⅴ おわりに 第5章 ロボット・AIの行政規制(横田明美) Ⅰ はじめに Ⅱ 安全確保における法制度と行政規制 民事法・刑事法との関係―予防司法としての行政規制/安全のための行政規制/消費者法制における民事法・刑事法・行政法の組み合わせ Ⅲ 既存の法システムと新技術への対応 日常生活に溶け込む製品の安全性―有体物とソフトウェア,ネットワーク/道路交通をめぐる法制度 Ⅳ ロボット・AIの普及による社会の変化 モノとソフトウェア・ネットワークとの融合/学習するAI,判断過程のブラックボックス化/アクターの多層化,複層化 Ⅴ ロボットが普及する社会と行政規制 「ロボット・AI法総論」と「ロボット・AI法各論」/「AI開発ガイドライン」案への意見募集をめぐって/総論と各論の相補的見直しと行政の役割 第6章 AIと契約(木村真生子) Ⅰ はじめに Ⅱ アルゴリズム取引と現代的な契約 アルゴリズム取引―契約の自動化の進展/自動化された取引から生ずる問題/規制当局の対応 Ⅲ 「人」と「機械」の相互作用から契約は生まれるか 「人」と「機械」による取引と契約法の関係/単純な機械と人との取引―自動販売機による売買/複雑な機械と人との取引―クローズド・ネットワークでのコンピューター通信/オープン・ネットワークでのコンピューター取引 Ⅳ コンピューターは代理人となれるのか――アメリカとドイツの考え方 アメリカ/ドイツ/まとめ Ⅴ AI の出現 AIをめぐる契約の動き/AIを介した契約の帰趨 Ⅵ おわりに ―ロボット・AIと競争法―(市川芳治) 1 ある事例から 2 競争法の思考枠組みとロボット・AI 3 競争当局等の問題関心 4 基本への立ち返り 5 エンフォースメント 6 終わりにかえて 第7章 自動運転車と民事責任(後藤元) Ⅰ はじめに 自動運転技術の発展/自動運転と民事責任/本章の構成 Ⅱ 自動運転技術のレベル Ⅲ 現行法を前提とした検討 ドライバー・運行供用者の民事責任/自動運転車メーカーの民事責任 Ⅳ 将来的な制度設計の可能性 現行法を前提とした帰結の問題点/制度設計の選択肢 Ⅴ 結びにかえて 第8章 ロボットによる手術と法的責任(弥永真生) Ⅰ ロボット製造業者の製造物責任 Ⅱ ロボット製造業者の不法行為責任 Ⅲ インフォームド・コンセント Ⅳ 債務不履行責任と瑕疵担保責任 Ⅴ 契約により責任を制限することが認められるか 対病院等―定型約款/対患者―消費者契約法 Ⅵ 遠隔手術に伴う法的問題 遠隔医療・遠隔手術の展開/どこの裁判所に訴えるか―裁判管轄/どの国の法律が適用されるのか―準拠法 Ⅶ 今後の課題 免許制度の可能性/「欠陥」「瑕疵」「過失」の立証の困難さ/保険または補償制度の可能性 第9章 ロボット・AIと刑事責任(深町晋也) Ⅰ はじめに Ⅱ モデルケース 事例1/事例2/事例3 Ⅲ 自動走行車と過失犯の成否 自動走行車の意義とその種類/レベル3の自動走行車と死傷事故 Ⅳ レベル4 以上の自動走行車と過失犯の成否 前提:レベル4以上の自動車は公道を走れるか/レベル4以上の自動走行車と刑事責任:AIの刑事責任?/レベル4以上の自動走行車と刑事責任:設計者の責任 Ⅴ 自動走行車と生命法益のディレンマ状況 生命法益のディレンマ状況とは/ドイツ刑法学における生命法益のディレンマ状況の解決/我が国における生命法益のディレンマ状況の解決/自動走行車のプログラミング段階での問題 Ⅵ ロボット・AI が被害者的な立場に立つ場合 総説/人間の感情/人間との密接な関係 Ⅶ 終わりに 第10章 AIと刑事司法(笹倉宏紀) Ⅰ はじめに Ⅱ 刑事司法におけるAIの可能性――総論 Ⅲ AIと事実認定 事実認定の仕組み/AIによる代替可能性/学習の限界と事実認定過程の複雑さ/証拠能力 Ⅳ 法の適用判断 Ⅴ その他の活用場面 量刑・再犯予測/新派刑法理論の復活?/保釈・令状審査/起訴猶予/捜査/取調べ/AIが捜査に協力する場合 Ⅴ 法の支配とAI 第11章 ロボット・AIと知的財産権(福井健策) Ⅰ 導入 Ⅱ ロボット・AIコンテンツの広がり Ⅲ ロボット・AIコンテンツの特徴と社会影響 大量化・低コスト化/テーラーメイド化/権利侵害・フリーライドの恐れ/新たな体験・発見・感動 Ⅳ ロボット・AIの知財問題 検討の視点/学習用データ/ロボット技術・AI本体(アルゴリズム)/学習済みモデル/生成コンテンツ Ⅴ おわりに 第12章 ロボット兵器と国際法(岩本誠吾) Ⅰ はじめに ロボット兵器の登場/ロボット兵器の特徴/進化ロボット兵器への不安 Ⅱ ロボット兵器の分類と現状 ロボット兵器の分類基準/ロボット兵器の現状 Ⅲ ロボット兵器の法規制動向 2012年以前の動向/2013年以降の動向/非公式専門家会合から政府専門家会合へ Ⅳ 国際法上の議論 用語の定義/国際人道法の適用/新兵器の法的審査/国際責任の追及 Ⅴ 関連事項の議論 倫理的考慮とマルテンス条項/LAWSの予測可能性/人間による制御/LAWSの内在的危険性 Ⅵ おわりに 法規制アプローチの対立/事前規制推進派と事前規制慎重派/議論の困難性を超えて |
※『会社法務A2Z』2019年6月号の「良品10選」に掲載されました。 |