法律実務のパートナー
ジュリスト 2014年2月号(No.1463)
2014年01月25日 発売
定価 1,466円(本体 1,333円)
かつて私的領域における個人の著作物利用は限定的で,著作権法は,私的複製,非公衆送信については権利対象外としてきました。ところがインターネット等,技術や手段の発達・普及により状況は一変し,著作権を考える上でいまや私的領域における利用も無視できない時代となっています。どこまで私的利用を自由とし,どこまで著作権者に利益還元するか。難しい舵取りが求められますが,本特集では,クラウド・電子書籍をめぐる最近の状況から,この方向性をご解説いただきました。
また,中山信弘先生・福井健策先生による「HOT issue」を掲載。デジタル時代の著作権は,どこへ向かうのか。特集とあわせて,この点に迫ります。
【特集】クラウド・電子書籍と著作権
◇クラウド・電子書籍と著作権――企画の趣旨●小泉直樹……12
◇クラウドと私的利用をめぐる実務上の問題点●宮下佳之……17
◇補償金制度をめぐる欧州の動向――EU司法裁判所2013年6月27日判決(VG Wort事件)を中心として●三浦正広……23
◇私的録音録画補償金制度をめぐる課題と展望●上野達弘……29
◇自炊代行訴訟判決をめぐって●横山久芳……36
◇電子書籍の中古販売・流通●奥邨弘司……43
◇出版権のこれまでとこれから――研究者の立場から●金子敏哉……49
◇出版権のこれまでとこれから――実務の観点から●村瀬拓男……55
[HOT issue]
〔No.6〕デジタル時代と変わりゆく著作権●中山信弘●福井健策……ⅱ
[会社法判例速報]
株主総会決議を経ない役員報酬――東京地判平成25・8・5●弥永真生……2
[独禁法事例速報]
音楽著作権使用料の包括徴収の排除効果が認められた事例――東京高判平成25・11・1●植村幸也……4
[知財判例速報]
発明の明確性要件――知財高判平成25・11・28●小泉直樹……6
[租税判例速報]
放送法64条1項に基づくNHKとの受信契約成立及び受信料支払債務の発生を認めた事例――東京高判平成25・10・30●浅妻章如……8
[連載/企業法務 独禁法事例コレクション]
(第2回)競争事業者間の業務提携●平山賢太郎……72
[霞が関インフォ]
消費者委員会―始動した第3次消費者委員会●河上正二……62
[海外法律実務便り]
ブラジル―ブラジルの税務及び労務――「ブラジルコスト」の一側面●清水 誠……82
[最高裁時の判例]
◇〔民事〕検察審査会法41条の6第1項所定の検察審査会による起訴をすべき旨の議決の適否につき行政事件訴訟を提起して争い,これを本案とする行政事件訴訟法25条2項の執行停止の申立てをすることができるか――最一小決平成22・11・25●中山雅之……84
◇〔刑事〕妄想型統合失調症による幻覚妄想状態の中で幻聴,妄想等に基づいて行った行為が「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」2条2項の対象行為に該当するかどうかの判断方法――最三小決平成20・6・18●増田啓祐……87
◇〔刑事〕弁護士資格等がない者らが,ビルの所有者から委託を受けて,そのビルの賃借人らと交渉して賃貸借契約を合意解除した上で各室を明け渡させるなどの業務を行った行為について,弁護士法72条違反の罪が成立するとされた事例――最一小決平成22・7・20●三浦 透……91
[経済法判例研究会]
携帯型ゲーム機用液晶モジュール価格カルテル事件――シャープ事件――公取委審判審決平成25・7・29●佐藤吾郎……95
[商事判例研究]
◇会社保有の株式を廉価で売却した取締役の責任――大阪地判平成25・1・25●髙橋美加……99
◇公開買付価格を下回る株式交換完全子会社株式の公正な価格――三洋電機株式買取価格決定申立事件●――大阪地決平成24・4・27●白井正和……102
◇非公開会社の第三者割当増資による取締役の責任――アートネイチャー株主代表訴訟事件――東京高判平成25・1・30●田中 亘……106
[労働判例研究]
◇労組法上の「労働者」性判断における事業者性の意義――国・中労委(ビクターサービスエンジニアリング・差戻審)事件――東京高判平成25・1・23●橋本陽子……111
◇有期労働契約の所定更新限度到達前の雇止めの適法性――日本航空(雇止め)事件――東京地判平成23・10・31●仲 琦……115
[租税判例研究]
有料老人ホームの入居一時金等に係る収益計上時期――東京高判平成23・3・30●田島秀則……119
[渉外判例研究]
不法行為地の裁判籍を理由に国際裁判管轄が認められた一事例――東京地判平成24・2・14●山田恒久……123