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有斐閣六法の使い方

有斐閣六法の使い方のほか,六法の由来や成り立ちをご説明いたします。

有斐閣より発行している六法は,共通した形式・約束で編集されています。それらは各六法の巻頭にある凡例に要約しておりますが,読者の方にさらに詳しく知っていただき,より効果的に六法を利用していただけるように,「有斐閣六法の使い方・読み方」という小冊子を毎年発行しております。

ここでは,「有斐閣六法の使い方・読み方」をもとに,編集上の形式や約束を,簡単にご説明したいと思います。より詳しくお知りになりたい方は,小冊子をこちらからお申込みください。

なお,無料にてお送りしておりますが,数に限りがあるため,お送りできない場合もございます。

1 原典

◆ 官報・法令全書

法令の原典は官報と法令全書です。

官報は,法律や政令などの公布や国の公文書その他の公示事項を公表し周知させるための国の機関紙です。また,法令全書は,官報で公布または公示された事項を,法律・政令ごとに編集し,月ごとにまとめたもので,官報・法令全書とも,独立行政法人国立印刷局から発行されています。

六法は,官報・法令全書を原典に法令集として編集したものです。

◆ 法律の改正と織込み

六法は,官報・法令全書を原典に法令集として編集したものですが,その際に,法令の 「改正を織り込む」 という作業を行っています。

ニュースなどで 「ある法令が改正された」 という場合には,たとえば,「民法等の一部を改正する法律」 「刑法の一部を改正する法律」 などと,一部を改正する法令を公布するという形式をとるのが一般的です。

これらの法令では,たとえば,『第二条中 「□□」 を 「△△」 に,「××」 を 「○○」 に改める。』 という形でもとの法令の改正が定められています。この改正規定の内容に従って,もとの条文に改正を組み入れて新しい条文にすることを,改正を織り込むといっています。

法令集の編集は,この作業が中心になるわけです。法令集を読むということは,普通はこの改正の織り込まれた法令,いわば法令の現在の姿を見ることになります。

2 編集締切期日と有効な改正前規定,追録

◆ 基準日

編集の締切期日は,法令の改正が織り込まれている最終の日です。六法の凡例の最初に基準日として編集の締切期日をのせています。

ポケット六法・判例六法は9月1日,判例六法Professionalは10月1日,六法全書は翌年1月1日としています。ポケット六法・判例六法・判例六法Professionalは通常国会での結果を,六法全書では秋・年末の国会での結果を織り込んで新年版としています。

◆ 有効な改正前規定

有斐閣六法では,改正法令が公布されれば,その改正を織り込むことを原則としていますが,ときには,改正法令の施行期日が六法の刊行日よりずっと先になることがあります。

この場合,効力をもっているのは改正前の条文になりますが,六法にのっているのは改正を織り込んだ条文で,実際に効力をもっている条文が六法にのっていないというのでは非常に不便が生じます。

そこで,効力をもつ改正前の条文を,「有効な改正前規定」 (有斐閣Webサイトに掲載) または「注記」(有斐閣六法本体に掲載)で確認することができるようにしています。どちらに掲載されるかは,改正法令の施行期日により決まります。また各六法でも掲載基準が異なりますので,それぞれの六法の凡例をご確認ください。

◆ 追録

有斐閣六法は,いずれも年1回発行しています。しかし,締切期日より後に公布された改正法や政令などの下級法規のうち重要なものは,いち早く読者の方々に知っていただきたいということから,判例六法と判例六法Professionalにつきましては,編集締切後の重要な判例の要旨も掲載し,4月下旬に追録を発行しております。お申込方法については判例六法と判例六法Professionalにはさみ込まれた読者カード等をご覧ください。

追録は,紙幅の関係上,その六法の収録法令に関係のあるすべての改正法令を収めることはできませんが,「収録法令の改正経過」 という一覧表で,六法本誌の締切期日から追録の編集期日までの,収録法令の条文の改正・廃止などを調べることができます。

なお,ポケット六法・六法全書については,追録はありません。ポケット六法については,収録法令に重要改正があった場合にメールでお知らせする「ポケ六通信」というサービスを行っています。登録方法についてはポケット六法本体にはさみ込まれたチラシ等をご覧ください。

◆ 資料

有斐閣六法の独自なものとして,法令のほかに資料を掲載しています。

判例六法Professionalと六法全書には,どこの裁判所がどの区域を管轄しているかを一覧できる 「全国裁判所管轄区域表」を掲載しています。これに加え,判例六法Professionalには所有権の保存登記をしたらいくらかかるかなどが一覧できる「印紙税額・登録免許税額一覧表」を,また六法全書には,訴えを起こしたとき,その請求の対象の価額がいくらと算定されるかなどが一覧できる「各種手数料等一覧表」を掲載しています。

3 六法を開いて

(1) 法令題名欄

法令題名の上にある丸印は,この法令の重要度を示すマークで,◎が特に重要な法令で,●は次に重要な法令,その他が○です。法令全体のバランスを考えてつけられたもので,有斐閣六法の特長のひとつです。

題名の下に 「(抄)」 の表示がある場合は,この法令の条文の一部に省略があることを示しています。その下にある( )内には,右行にその法令が公布された年月日を,左行に法令番号を掲げています。

公布年月日は官報の日付によっています。法令番号は,法律,政令,○○省令など,法令の種類や制定者の別によって,年ごとに新しく1号から始まっています。この欄では、法律を 「法」 ,財務省令を 「財」 と省略したり,法令番号も第百五十六号を 「一五六」 と見やすい形にしています。法令の略称は,巻末の法令略称解に示しています。

(2) 施行改正欄

題名の次に施行期日と改正の履歴を示す施行改正欄があります。

法令の施行欄は,この法令がいつから施行されるかの表示です。法令の施行期日は,普通その法令の最後についている附則で定められていますが,附則を見る不便さをなくすように題名のすぐ後に掲げています。

法令の改正欄は,その法令を改正する法令が公布された際に,改正を織り込んだことを示しています。公布年と法令番号であらわしており,重要な改正法令はゴシック体で表示してあります。

(3) 本文

a 原典の用字・用語

法令の用字・用語は,大体はそのときどきの公用文の書き表し方によっていますので,大雑把にいって,昭和21年4月頃から平がな・口語体となり,それ以前は片カナ・文語体です。文語体の法令は,片カナであると同時に句点(。)もなく,おおむね大正15年以前のものには濁点さえなく,旧漢字で漢字の使用に制限はなく,旧かなづかいで古い送りがなです。

口語体の法令では,平がなで,句読点も濁点もありますが,公用文の使用漢字や送りがなのつけ方は段階的に変わってきていますので,それに伴って法令の使用漢字や送りがなにもいろいろな変化が見られます。何回も改正の繰り返されている法令では,たとえば 「超える」 は 「こえる」 と,「行う」 は 「行なう」 と混在しているものも見られます。

b 有斐閣六法の用字・用語

有斐閣六法では,原典が旧漢字であっても全部新漢字に改めていますので,漢字の字体には新旧の区別はありません。しかし,濁点やかなづかい,送りがな,片カナ・平がなの別は忠実に原典の官報と法令全書によっています。

なお,判例六法では,法律を親しみやすい形で提供するために,原典を損なわない範囲で,片カナの法令を平がなにして発行しています。かつては片カナだった主要法令も改正や新法制定で次々に平がなになってきています。たとえば,刑法については,刑法の一部を改正する法律 (平成7法91) により,民事訴訟法については,新法 (平成8法109) の制定により,片カナ文語体から平がな口語体に,難解な漢字から常用漢字による平易な語句へと表記の平易化がなされました。

c 編集でつけた注記など

◆ 条名表示・項番号表示

公布された法令の原文 (原典) では,条名は,たとえば 「第二百五十八条」 というようになっていますが,一読してわかりにくいので,原典と異なる 「第二五八条」 というような表示をしてあります。

条文が2項以上から成り立っているときには,今日ではほとんどの法令で2項以下に項番号がつけられています。しかし,古い法令には項番号がつけられていないものや,項の書き出しの行頭が下げられておらず,項が変わったのかどうか判断しにくいものもあります。

有斐閣六法では,見やすさの観点から,原典に項番号がついているものもついていないものも,また今日でもつけられていない第1項にもすべて,項番号(丸つき数字)をつけてあります。ただし,条約については,項番号表示とともに原典通りにしてあります。

◆ 条文見出し

条名の下の( )【 】や条文の右肩の( )内が条文見出しです。現在では,法令の条文の右肩の( )内に条文見出しが付されて法令が公布されていますが,以前は条文に見出しがつけられることはありませんでした。

そのため,条文見出しの付されていない法令には,編集委員が執筆した見出しを【 】で区別してつけています。大文字で掲載されている法令では削除された条文にも,参考のために条文見出しをつけています。

◆ 改正条の明示

前年版から改正のあった条文には,条名に傍線を付して,改正の有無をひと目で確認できるようにしています。

◆ 準用規定

条文には,ほかの条文の規定を準用するという規定がおかれることがあります。準用というのは,ある事項に関する規定を,本質が異なっている事項について少し変更してあてはめることで,そのために字句の読替えについて規定してあることが多くあります。

準用する条文の内容は,その条文にあたって調べるとわかりますが,大文字で掲載されている法令には,必要に応じてその内客を準用条文のすぐ次の〈 〉内に説明してあります。準用する条文の見出しがついていると考えればよいわけです。

◆ 参照条文

◎印のついた大文字の法律 (六法全書・判例六法Professionalでは小文字の不動産登記法などにも) では条文の次に,本文より小さな字で,参照条文がつけてあります。これは編集委員が,条文の解釈や運用に役立つようにつけたものです。

参照条文は,他社の法令集にもつけられていますが,その注解が詳細かつち密なことと,参照条文が多くの法律につけられているため,有斐閣六法の効果的使用を高めているとの定評をいただいております。

参照条文の見方につきましては,六法全書と判例六法Professionalでは 「参照条文欄の構造の一例」 を掲載し,ポケット六法と判例六法では,「凡例」 中に説明をのせておりますので,ご参照ください。

◆ 附属及び関係法令

六法全書では各法令の末尾に,その法令の下級法規とその法令に密接な関連のある法令を 「附属及び関係法令」 として列記しています。これは附属・関係法令のすべてを網羅しているわけではありませんが,その法令の理解・運用のために必要と考えられるものを選択してのせています。

そのため,ときには告示や公庫などの公示,一部の通達など,かなり細かいのではと思われるものものせてあります。

この欄に掲載する法令は,法令名の先頭に,六法全書収録法令にはその法令の重要度を示す記号(◎●○)を,非収録法令には▽を付して収録の有無を示し,法令名の次にある〔 〕内に公布年月日と法令番号を掲げてあります。

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